教育体制が整っていない職場
退職理由に、会社に教育体制が無いという不満を挙げる人は少なくありません。転職の面接で退職理由を聞かれた際に、会社の教育体制の不満を伝えるのは甘えと捉えられないか不安に思う方もいるのではないでしょうか。
今回のコラムでは、社員教育がおざなりな会社の事例を交えながら、退職理由として説明する際のポイントと、転職先の教育体制の有無を見極める方法を紹介します。
場当たり的な指導
たとえば「質問されたり躓いた時だけ指摘する」という場当たり的な指導は、経験の浅い人に対して効果的とは言えません。なぜならば、どこまで出来たらOKなのかというゴール設定が不明確だからです。
教えられる側は「失敗していないだろうか?」と疑心暗鬼となってしまうばかりか、「分からないことが分からない」状態に陥ってしまいます。常に指導者の顔色をうかがいながら、逐一確認を取らなければならず、仕事に前向きに取り組むことが難しくなります。
理不尽に放置される
「見て覚えろ」「自分で考えろ」「教えて貰おうなんて甘えだ」と言われた経験はあるでしょうか?このように教えずに放置する行為は、ある程度自分のやり方を確立している人であればまだしも、経験の浅い人は失敗体験だけを重ね、自信を失うことになります。
教育体制は人間関係にも影響する
一方で教育マニュアルや研修制度など無くとも、OJT(仕事を通じて指導する教育方法)が主体であっても社員の定着率が高い企業があります。その違いは会社の教育体制から端を発し、指導者との人間関係も影響していると考えられます。
指導者の教える技術や意識が低く、人間関係が悪化
指導者の教える技術や意識が低いことは、職場の人間関係悪化に繋がります。具体的には次のような流れです。
指導者の教える技術や意識が低い
↓新人の仕事の覚えが悪くなる
↓仕事の覚えが悪いことに指導者が苛立つ
↓新人が委縮(習得が更に遅れる)
職務を遂行できなければ、職場で良好な人間関係を築くことは困難です。人間関係が悪いと仕事で行き詰った際に相談する相手がおらず、ますます仕事がうまくいかないという悪循環に陥ります。こうなると職場に馴染むことが出来ず、自分が必要とされていないと感じて退職に至ることになります。
退職理由として伝えるポイント
転職活動の面接時には退職理由を聞かれます。その際に「教育体制が整っていなかった」と伝える事については注意が必要です。というのも「教育体制に自信がある」と言える中小企業は少ないからです。
毎年のように新卒採用を行っている企業で、教育体制を自社の魅力としてアピールしている企業は「うちであれば大丈夫ですよ」と言えるかもしれません。しかし、そうでなければ企業は「また同じような理由で辞めるのでは?」という不安が先行するでしょう。
他責な印象を与えないためには?
「教育体制が整っていなかった」という退職理由は、伝え方を誤れば「会社が育ててくれなかった」という他責思考な印象を与えてしまうリスクもあります。
教育体制を退職理由として伝える場合の注意点として、感情面にフォーカスするのではなく「具体的にどの点がおかしいと思ったのか」という論理面や「自分なりにどんな努力をしてみたのか」という行動面をセットで伝える準備はしておきましょう。
転職先の企業を見極める方法
人手不足を感じる企業
面接や会社見学などの選考段階で、会社の雰囲気を確かめることは大切です。社員がせかせかとしており、あきらかに人手不足を感じる企業は、現場を回すことが最優先で人材育成に対する意識が希薄である可能性があります。
求める人物像から社風を捉える
求人情報には「求める人物像」という社風を捉えた内容が記載されていることがあります。たとえば求める人物像が「自発的に行動できる人」の場合、裏を返せば「受け身の人はウチには合わない」と捉えることができます。求める人物像を見誤ると、ミスマッチを生む可能性が高いです。
入社後の研修などの質問する
入社後の研修制度やOJTについて質問して、企業側の反応を確かめるのも手です。受け答えによって、教育に関する姿勢や熱量を見極めできると思います。具体的な前例の話が出てくれば信頼できると言って良いでしょう。
まとめ
コロナ禍を経てリモートワークの導入なども進み教育の仕方も多様化してきています。入社してイメージと違ったとならない為に、事前にしっかり確認をして企業選定はしていきましょう。見極める努力をすると同時に自分自身の意識を変えていくことも重要です。
多少教育体制が物足りない程度であれば、自分なりに考えて質問する、仕事に対して勉強する姿勢をもつことで、自ら選択肢を広げる事は可能です。是非意識をしてみて下さい。